旧常磐炭砿KK砿員の縦断調査研究 1958〜
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炭砿労働者の閉山離職とキャリアの再結成研究の目的と経過-3-(2)

研究の目的と経過-3

疑似パネルデータの構築

 閉山以前の職業キャリアおよび家族キャリアに関するデータは、福島大学および早稲田大学に保管されている文書記録から再構成することが可能である。
  常磐炭砿の社内資料および労働組合による資料は、閉山後福島大学に寄贈され、現在同大学の地域研究センターに保管されている。その資料は膨大であり、われわれはその全容をまだ把握しきれていないが、これをもとに常磐炭砿において離職者たちがどのような職業キャリアを形成してきたのかについて、縦断的データを構築することができる。
  またわれわれの基本台帳ともなった、「就職のための相談票」には職歴、資格、家族、趣味等に関する情報が記載されている。さらに「地底との訣別」には、閉山から昭和50年時の職業や居住地についての記載がある。これらをデータベース上で連結することによって、個人が各時点でどのような状態にあったのかを再構成することができるのである。
  その際に役立つのが常磐炭砿がすべての砿員にわりあてていた固有の識別番号である職番である。入手した名簿や個人別を特定できる資料をデータ化すれば、さまざまな資料を職番によって連結することができる。
  さて、個人別の縦断データを構築する際に、利用できるデータにはどのようなものがあるのだろうか。現在までに収集されたデータについて、簡単に触れておきたい。
  図1は、縦断データとして連結できる、既存のデータや資料を年表形式で示したものである。現在までに「就職相談カード」と「訣別名簿」との連結はほぼ終了した。さらに、閉山に先立つ砿員たちの個人情報としては、早稲田大学社会学研究室が1964(昭和39)年に「工業化に伴う地域社会の変動の研究」においていわき市に立地する企業から収集した従業員名簿のうち、常磐炭砿ならびに系列会社の「従業員名簿」(資料としての性格については97年度報告書を参照)、および「就職相談カード」とともに磐城砿業所から寄贈された「直・間・外・保護別・年齢・勤続別個人別日給調」(1968・昭和43年6月1日現在)がある。これら名簿にも職番が付されており、他の資料との連結が可能である。その他にもいくつかの時点を異にする個人別データがあり、その一部は縦断データの構築に利用できる。
  加えていえば、1999年になって、膨大な常磐炭砿関係資料の閲覧・利用を常磐興産k.k.および福島大学地域研究センターから許可されたので、今後、大閉山までの諸時点の個人データは増加する見込みである。こうして、閉山あるいは閉山直後までの個人別縦断データについては、かなり詳細なものを作成する目途がたった。
  これらと、面接調査において回想法で収集されたデータを連結することにより、われわれは閉山時に離職した元砿員たちの人生の軌跡を再構成しようとしている。

 

 

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