旧常磐炭砿KK砿員の縦断調査研究 1958〜
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炭砿労働者の閉山離職とキャリアの再結成離職者たちの追跡-1

離職者たちの追跡-1

研究の目的と経過-4

4離職者たちの追跡――その方法と経過

 面接調査を行うためには、まず調査対象者の現住地を調べる必要がある。調査開始に先立ち対象者の所在を確認する手がかりとしてわれわれの前にあったのは、大閉山時の住所(「就職相談カード」)だけであり、そして間もなく大閉山5年後の住所(「訣別名簿」、内163名は住所不明)がそれに加わった。それでも1975年からの時間の空白は大きく、所在確認にあたってはさまざまな試行錯誤が必要とされた。
  追跡作業のための一次資料となったのは、基本台帳を作成するさいに利用した「就職相談カード」と「訣別名簿」である。この2つの資料に記載されている情報のうち、現住所の追跡に利用できる項目のみをあげると、「就職相談カード」には、本人の氏名、生年月日、閉山時の住所、職番に加えて、世帯員についての情報がある。一方「訣別名簿」には、本人の氏名、職番、出生年(月日は記載なし)、閉山時の住所、現住所(1975年当時)、勤務先(1975年当時)に加えて、本人の顔写真が掲載されている。
  以上の情報を手がかりに、われわれは次のような方法を駆使して離職者の現在の所在を確認する作業を行った。

 
1.各種名簿との照合
現地での資料収集のさいに、われわれが収集した常磐炭砿労働者のOB会、親睦会等の名簿を氏名によって照合し、同一の氏名が含まれていれば、その名簿に記載された住所を現住所として推定した。一部の名簿には、生年月日も記載されているため、氏名と生年月日による照合を行った。ただし、一部の名簿は作成された時点が古く、照合ができたとしても、当該名簿の住所が現住所ではないケースを含んでいると思われた。
 
2.いわき市の電話帳との照合
複数種の名簿との照合作業をした後、不明のままであった者を対象に、いわき市の最新の電話帳と照合し、同一の氏名が双方に含まれていれば、電話帳に記載された住所を現住所として推定した。ただし、電話帳には複数の同姓同名者が記載されている場合が多く、これだけでは複数の同姓同名者のうち、だれが大閉山による離職者なのかを判別することができない。そこでこれらについては、別途郵送調査により対象者か否かの確定作業(・を参照)を行った。
 
3.いわき市内の寺院へのインタビュー
元労働者の中にはすでに死亡しているものも少なくないと思われた。事前に得ていた情報から、死亡者の多くがいわき市内の寺院に埋葬されていることがわかった。そのため死亡者を確定する作業として、いわき市内の寺院へのインタビュー調査を行った。ここでは、基本台帳における年齢(死亡時年齢と照合)や「就職相談カード」に記載されている世帯構成の情報が参考になった(現世帯主の情報と照合)。
 
4.1997年面接調査での情報収集
1997年調査において対象者に常磐炭砿勤務中に親しくしていた人をあげてもらい、その人の現住所を尋ねた。
 
5.常磐炭砿離職者への問い合わせ
現住所が確認できない離職者の一覧を作成し、そのリストの一部について、現在いわき市在住のインフォーマント(常磐炭砿の離職者、三浦清一氏・岡部恵一氏・内田勝蔵氏・遠藤弘氏)から教示を受けた。
 
6.未特定者の確認調査
A.同姓同名者特定調査
上で述べた電話帳調査では、同姓同名のため対象者個人の特定にいたらなかった者が270名を数えた(当時の基本台帳上には「就職相談カード」に基づく2,435名の記録があった)。この270名と電話帳上で同姓同名であった者はのべ703名であった。1997年、これら703名を対象に常磐炭砿での就労経験の有無を尋ねる質問紙を郵送したところ、290名から回答が得られた(回収率は42.8%、回答にはすでに故人となったとの家族によるものも含まれる)。     この質問紙に設けた項目は、生年月日、常磐炭砿での就労経験の有無、閉山離職者に該当する者には「就職相談カード」提出の有無、常磐炭砿を退職した年月、常磐炭砿退職後の再就職先と、現在の就労状況である。    その結果、常磐炭砿につとめた経験があり、かつ閉山前後に退職した100名を特定することができた。しかし、「就職相談カード」の提出については半数以上が無回答あるいは「忘れた」という回答であったため、生年月日による照合作業を加えて検討を行い、その結果77名を「就職相談カード」提出者として特定できた。
B.未特定者確認調査
基本台帳に「訣別名簿」の記載者を加えた後、再度その時点での不明者を対象に電話帳による照合を試みた。その結果、電話帳に複数の同姓同名が存在する者があらたに多数みつかった。これらと、上記A.の調査で確認できなかった者とを合わせ、本人かどうかを特定するにいたっていない者の一覧表を作成し、1998年に再度の確認調査を実施した。これは郵送調査ではなく、1998年の調査員による面接対象者本人およびその近隣の人びとからの聞き取り調査である。その結果、上記一覧表中にある580名中427名が大閉山による離職者であることを確認できた。そのうち87名はすでに故人となっていた。

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